インタフェイス 〜デジタルインタフェイス概要〜

近年、マシンビジョン向けに CameraLink、IEEE1394 など、多くのデジタルインタ フェイスが採用されている。本章ではその概要として、デジタルインタフェイスの分類とその特徴について説明する。

1. マシンビジョン専用インタフェイスと民生用インタフェイス

1.1 マシンビジョン専用インタフェイスとは
マシンビジョン専用インタフェイスとは、マシンビジョン業界団体(EMVA:European Machine Vision Association、AIA:Automated Imaging Associationや、JIIA:Japan Industrial Imag-ing Association)が策定や認証等、規格に関わるすべてを行っているインタフェイスのことである。CameraLinkやCoaXPressなどがこれに該当する。 最大の特徴は、インタフェイス規格自体がマシンビジョンに特化しているということである。

これによって、以下の利点が挙げられる。

• インタフェイスケーブルに、マシンビジョン用の信号が内蔵されている(トリガ、各種映像Valid信号等)
• 仕様が比較的簡素であるため、カメラ、PCインタフェイスカードともに設計コストの低減化を図りやすい
• 対応機器がマシンビジョン向けに限定されるため、相性問題が生じにくい
• PCインタフェイスカードが専用設計のため、ホストPCの処理負荷が軽い(だたし、インタフェイスケーブル、PCインタフェイスカードともにマシンビジョン専用であるため、民生用と比較して高価であるという問題点もある)。

1.2 民生用インタフェイスとは

民生用インタフェイスとは、民生用製品向けに広く利用されているインタフェイスのことである。IEEE1394やUSB、HDMIなどがこれに該当する。これらをマシンビジョン向けにそのまま、もしくは一部仕様を拡張しつつ導入したものである。

その利点は、以下のとおり。

• 対応機器が多く、選択の幅が広い。インタフェイスによっては、はじめからPCに備わっているものも存在する。
• バスアナライザなど、開発に必要な設備が整いやすい。

次に、問題点は以下に挙げる。

• コネクタ、ケーブルなどにマシンビジョン用信号が想定されておらず、インタフェイス以外にマシンビジョン用信号(トリガ、各種映像Valid信号等)のためにコネクタ、ケーブルが別途必要となるケースが多い。
• マシンビジョンには不要、もしくはオーバースペックな機能(省電力動作、ホストPCからカメラに対する広帯域伝送等)が規格上備わっており、設計コストを増大させる恐れがある。
• 対応機器が無数に存在するため、相性問題が発生しやすい。
• 汎用化のために、インタフェイスの処理をPCのソフトウェアで行っているケースが多く、ホストPCの処理負荷が比較的重い。

マシンビジョン専用インタフェイスと民生用インタフェイスの例を表1に示す。


表1

2. パケット通信方式と非パケット通信方式

もう1つのインタフェイス分類方法として、パケット通信方式と非パケット通信方式が挙げられる。

2.1 非パケット通信方式
映像データを、専用線路を用いて送信する方式である。カメラ制御は別線路で実現するか、もしくはインタフェイス上に存在しない。CameraLinkやHDMIなどがこれに該当する。図1に、非パケット通信方式の概略図を示す。

この方式の利点は、以下のとおりである。

• 構造が簡素であり、カメラ、PCインタフェイスカードの設計コストが低い。
• 映像データが1つの通信線路を占有するため、帯域利用率が高い。
• 映像出力を直ちに通信線路へ送ることができるため、リアルタイム性が高い。問題点として、以下の欠点がある。
• カメラ制御が別線路のため、ケーブルの芯線数が多くなり屈曲性に不利となる傾向にある。
• カメラとホストPCの接続が1:1もしくは非常に限定された多数:多数となり、システム構成の自由度が低い。
• エラー検出、データ再送等のエラー対策が非常に難しい。


図1 非パケット通信方式

2.2 パケット通信方式
映像などのデータを、パケットというデータ単位に分割して送信する方式である。IEEE1394やUSBなどがこれに該当する。図2に、映像データからパケットを生成する場合の例を示す。


図 2 パケット生成例

パケット通信方式を行う利点は、1つの線路を複数の機能もしくは機器で共有できる点である。非パケット通信方式では映像出力とカメラ制御が分離されていたが、パケット通信方式では図3のように同一線路で実現できる。


図 3 パケット通信方式における映像出力とカメラ制御の多重化

パケットには通常、パケットヘッダと呼ばれる識別情報が付記される。送信側カメラでパケットごとの種別をパケットヘッダに記載すれば、受信側ホストPCは同一線路上のパケットを種別ごとに分離できる。このようにパケット通信方式では、1つの通信線路を時分割して複数の機能にて利用できる。同様に、パケット通信方式では複数の機器で1つの通信線路を利用することもできる。図4にハブを用いた場合の実現例を示す。


図 4 パケット通信方式における複数カメラ接続例

以上を含めて利点をまとめると、以下のようになる。

• 映像出力とカメラ制御が同一線路のため、ケーブルの芯線数削減が見込める。
• ハブなどによりネットワーク化ができ、システム構成の自由度が高い。
• データ転送がパケット単位で行われるため、エラー検出やデータ再送が容易
(インタフェイス仕様として備わっている場合が多い)。

問題点として、以下の欠点がある。

• 構造が複雑であるため、カメラ、PCインタフェイスカードともに、設計コストが上昇する。
• すべての帯域を映像出力で専有できないため、帯域利用率が低くなる傾向にある。
• 複数カメラを同一線路に接続する場合、カメラごとの利用帯域管理が必要となり、システム設計を複雑にする。
• 帯域に空きがある時のみパケット送信が行えるため、リアルタイム性が低くなる。

非パケット通信方式とパケット通信方式の例を表2に示す。


表2

3. 8b/10b 転送方式について

IEEE1394.b、USB3.0、CoaXPress、PCI-Express(Gen3を除く)、DisplayPortなど、数多くのインタフェイスで採用されている8b/10b転送方式について説明する。パケット通信方式、非パケット通信方式問わず、転送を行う際はデジタルデータをケーブル上に出力する。8b/10b転送方式は、この出力段に近い箇所(物理層)の方式である。 デジタルデータを転送する際、データ自身とは別に必ずクロックが必要になる。図5のように連続した同一のデータが送信された際、受信側はクロックがなければデータ個数が判別できない。このため、CameraLinikの7:1シリアライズ、IEEE1394.aのData-Strobe方式など多くの転送方式では、データのほかにクロック(もしくはクロックに相当する信号)を同時に伝送する必要があった。


図 5 連続データを受信した場合

この場合、2対以上の信号線路が必要となり、ケーブルの芯線数が増え、2対間の対称性(ケーブル長、インピーダンス等)による通信品質劣化が問題となる。1対の信号線路で転送を実現するための方式として、受信側で同期化を行うRS-232Cの歩調同期通信、USB2.0以前のNRZI転送方式などがある。しかしこれらは、通信線路の高速化が難しいという問題があった。これらの問題を同時に解決する手段として1982年にIBM社により考案、特許化された転送方式が、8b/10bである。

この方式は、
• 8ビットのデータを、4ビット以上同一のデータが並ぶことのない10ビットのデータに変換。
• 10ビットのデータをシリアル化する。
というものである。

転送されたデータは、4ビット以上同じデータが並ぶことはない。逆にいうと、3ビットに1回は必ずデータ変化する。受信側は、このデータ変化を元にクロックを生成し直す(クロックリカバリー)(図6)。


図 6 8b/10b 転送例

8b/10bのデメリットとして、データ転送レートが伝送帯域の80%(8ビット分の情報を10ビットに拡張して転送するため)という点がある。これを解消するために、64ビットを66ビットで表現する64b/66b(10ギガビットイーサネットの一部で利用)、128ビットを130ビットで表現する128b/130b(PCI-Express Gen3で利用)等の拡張規格も存在する。 8b/10bは、IBM社の特許が満了した2002年を境に、様々なインタフェイスで利用されている(図7)。


図 7 8b/10bの利用インタフェイス

8b/10bを利用したインタフェイスの場合、通信速度をデータ転送レートで記載したものと、伝送帯域で記載したものが混在している。表3に、8b/10bを利用した主なインタフェイスとその最大データ転送レート、伝送帯域をまとめる。


表3

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