ハイパースペクトルカメラも、モバイルの時代へ!
どこへでも持ち歩いて撮影できる 「SPECIM IQ」

400~1,000nm波長域、モバイルで気軽に持ち歩いてハイパースペクトル画像を撮影可能な小型軽量で高精度スキャナ機構内蔵の高性能、さらに、撮影画像中にあらかじめ登録した特定スペクトルをSAM(Spectral Angle Mapper)アルゴリズムにより検出して疑似カラー表示する機能を有した最新のハイパースペクトル・カメラである。人間の眼や通常のカラーカメラでは同色や類似色に見えてきわめて困難な、若葉の赤と枯れ葉の赤の識別、生肉の傷んだ箇所の検出、血液付着の新旧(酸化の度合い)検出、ほくろと皮膚の腫瘍(できもの)の区別など、各種現場での応用が期待される。

開発経緯

フィンランド国立技術研究センター(通称VTT)が1990年代前半に世界初の小型分光イメージング素子(通称 ImSpector)の開発に成功、その商用化のために設立されたSpectral Imaging Oy Ltd.(通称SPECIM)は、ハイパースペクトル分野で最も歴史ある企業の1つである。同社が20年の開発経験のうえにハイパースペクトル・カメラ分野にイノベーションをもたらすべく開発したカメラが、2017年11月末にリリースされた「SPECIM IQ」である(図1)。(※以下、「ハイパースペクトル」を「HS」と略記する)


図1「SPECIM IQ」外観

技術特長

➀データ取得、処理、結果表示が1台のカメラで実施可能。

➁小型軽量でどこへでも気軽に持ち運び使用可能(本体寸法:207mm 長× 91mm 高× 74mm厚:レンズ含めた厚さ125.5mm、重量:1.3kg)。

➂高精度内蔵スキャナ:内蔵スキャナはHSカメラのセンサと一体化して並行移動スライド式でスキャン走査するため、内蔵回転式スキャナの方式と比較して像の歪が生じない高精度である。

➃直 観 的 GUI を 備 え る 付 属 ソ フ ト ウ ェ ア「SPECIM IQ Studio」により、特別なプログラミング・スキルを要さずに、特定スペクトルをもつ対象物の同定モデル(Identification model)を生成し、同モデルやHSデータのカメラ(SPECIM IQ)への入出力が可能。

➄リモートセンシング分野で一般的なENVI標準フォーマットに準拠したHSデータを取得するため、別途ソフトウェアを購入して、より高度な分析が可能。たとえば、従来からSPECIM製HSカメラのデータ分析用として販売されてきたPrediktera製Evince(高度モデル探索用)、Breeze(簡易モデル探索・一部リアルタイム処理)が活用可能。

優位性

➀小型軽量の優位性 従来のHSカメラでは、別々に導入してインテグレイションが必要であったカメラ、スキャナ、コンピュータ、データ取込ボード、データ取得ソフトウェア、データ処理ソフトウェア、キーボード、ディスプレイ(総重量数十kg)が小型一体化され、1.3kgの超軽量で実現された。これにより、気軽に持ち運んでの利用が可能となった。活用領域・活用現場の圧倒的拡大が期待される。

➁直観的GUIの優位性 HSカメラ(SPECIM IQ)、付属ソフトウェア(SPECIM IQ Studio)、いずれも直観的GUIを使ったウィザード形式でユーザをガイドするユーザインタフェイスにより、プログラミングなど特別なスキルを要さず誰にでもわかりやすく容易に使いこなすことを可能とした(図2)。このことにより、ユーザ層の圧倒的拡大が期待される。


図2 付属ソフトウェア「SPECIM IQ Studio」

➂価格優位性 他社も含めたHSカメラの従来価格と比較して大幅な低廉化を実現しており、多くのユーザを獲得してモバイル版HSカメラのデファクトスタンダードとなることを目指している。

適用事例(試行例)

植物生育観察、生鮮食品検査、医療・コスメティック応用、薬剤検査、絵画・芸術作品の分光分析、表示色・印刷色の測色・評価など各種適用が考えられる。SPECIM IQは新製品のため、製品開発のパイロットテスト段階においてメーカで実施した試行例を適用事例として図3〜8に示す。


図3 植物生育観察
(左:通常写真/中央:健康生育部分/右:ストレスで紅色化した部分)


図4 生鮮食品検査
(左:通常写真/中央:新鮮肉部分/右:非有機物・異物検出部分)


図5 医療・コスメティック応用
(左:通常写真/中央:皮膚打撲部分/右:皮膚において感染症が疑われる部分)


図6 薬剤検査
(左:通常写真/中央:有効薬剤部分/右:異物検出(濃色部分))


図7 絵画・芸術作品の分光分析
(左:通常写真/中央:分析前ビューア画面/右:貴重顔料領域の検出(白抜き部分))


図8 表示色・印刷色の測色・評価
(左:通常写真/中央:分析前ビューア画面/左:測定データ(各種評価実施可能))

カメラの仕組み・基本仕様

1)ハイパースペクトル・カメラの仕組み
ハイパースペクトル・カメラは、先端部のスリットを通して対象物からの光(反射光や透過光)を線分状ビームとして入射後、PGP光学素子(プリズム-グレーティング-プリズム)によりスリットと垂直方向に分光して、対象物を同時には、空間軸方向1次元、波長軸方向1次元、合わせて2次元の分光像として同カメラのセンサで捉える。スリットと垂直方向に対象物を走査(スキャン)することにより、対象物の像1点1点について分光スペクトル・データを得て、結局、空間軸2次元・波長軸1次元から構成される3次元データを得る。これがハイパースペクトル・データ(Cubic dataとも呼ばれる)である。

2)基本仕様 
SPECIM IQの基本的仕様内容は以下のとおりである。

➀撮影の手順として、はじめにビューファインダ・カメラ(5Mpix解像度)を用いて露光時間(Integration time)の設定、焦点調整を行い、その後、ハイパースペクトル・カメラに切替えてハイパースペクトルの画像データを撮影する方式のカメラである。

➁SPECIM IQでは、空間軸の解像度は512ピクセルであり、波長軸は400〜1,000nm波長域を204分割して波長バンド数204で捉える(波長分解能FWHMは7nmである)。

➂撮影視野:31×31°(1mの距離において0.55m×0.55m視野領域)

➃撮影距離:150mm以上(最短撮影距離:150mm)

➄動作温度/湿度範囲:0℃〜+ 40℃、湿度95%(無結露状態)(※より詳細な仕様情報は弊社ホームページまたはメーカ・ホームページを参照いただきたい。)

まとめ

商用ハイパースペクトル・カメラの草分けであるフィンランドSPECIM社が、どこへでも気軽に持ち歩いて撮影できる、モバイルで活用できるハイパースペクトル・カメラ「SPECIM IQ」を発売した。本稿は、SPECIMの日本国内代理店20年来の経験をもつ弊社による、最新製品のカメラについて、技術特長、優位性、適用例を中心に紹介した。 ハイパースペクトル・カメラに興味をお持ちの方、新しいセンサの導入ご検討中の方の参考にしていただければ幸いである。
※ さらに詳細情報は、弊社ホームページ(www.dht.co.jp)またはメーカ・ホームページ(www.specim.fi)を参照いただきたい。弊社直接のお問合せも歓迎いたします。
※ SPECIM IQの操作方法の概要は、弊社ホームページの同カメラのページから簡易操作ガイド(日本語版)をダウンロードして参照可能。(付属ソフトウェア SPECIM IQ Studioの簡易操作ガイド(日本語版)はカメラご購入者の方に配布いたします)

◆お問い合わせ先
☆デルフトハイテック株式会社
TEL.:044-455-0251
E-mail:sales@dht.co.jp
URL:http://www.dht.co.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください