マシンビジョン向け大光量ファイバ光源ユニット 「PFBR-600SW-LL/LLCF」とストロボ対応ライン 照明用コントローラ「PST-10024-1-ET」の紹介

シーシーエス(以下、当社)は1993年の設立以来、10,000機種以上の特注照明を開発・設計・製作した実績と、50,000件以上のワーク撮像を行ってきた知見により、MV(マシンビジョン)照明のリーディングカンパニーとして、光学・放熱・制御・評価等の技術を培ってきた。

本稿では、これらの技術を活用して開発した、これまでにない画期的な製品である「大光量ファイバ光源ユニット」と「ストロボ対応ライン照明用コントローラ」を紹介したい。

大光量ファイバ光源ユニット「PRBR-600SW-LL /PFBR-600SW-LLCF」

 当社は、業務提携しているレボックス株式会社と共同で開発した、メタルハライドランプ250W相当の明るさのLEDファイバ光源ユニット「PFBR-150SW」を2014年に販売開始し、多くのお客様の生産ラインにご採用いただいている。

その後、当社はさらなる大光量化を目指し、様々な光源を選定・評価しながら模索を続けてきた。

その結果、2018年9月には、従来の方法では不可能だった7倍の光量アップ(図1:当社測定条件)を実現したファイバ光源ユニット「PFBR-600SW-LL」と、出射先端部で6色のフィルタがそれぞれ100m秒の時間で切り替わるフィルタチェンジャ機能を装備した「PFBR-600SW-LLCF」の2機種を販売開始した(図2)。

図1

図2

これらの製品は、メタルハライドランプ350Wの2台分相当の大光量化を実現する一方で、高い耐熱性を考慮した高信頼性設計を採用している。

また、このファイバ光源に装着するライトガイドも、耐熱評価試験を長時間にわたり実施しており、安心して使用いただけるものを用意している。

本製品では、定常発光モードでの大光量化を実現したほか、内部トリガモードと外部トリガモードによるストロボ発光を可能としている。トリガ信号入力時に、最大光量での点灯消灯を1μ秒以内の時間で実現する、高速応答機能(図3)も備えている。

図3

さらに、調光値と相対光出力に直線性の特性をもたせたリニアリティ調整機能(図4)、内部の光出力部のフォトセンサによって光量を安定化する光量フィードバック制御機能(図5)も備えている。

図4

図5

外部制御は手動、Ethernet、パラレル、シリアルの各種が可能で、定常発光時間を積算値として外部に出力することも可能とした。 安全性についてはCEマーキングを取得済みである。

ストロボ対応ライン照明用コントローラ「PST-10024-1-ET」

 当社は、これまで多様な種類のラインセンサ用照明(以下、ライン照明)をラインナップしているが、これらの照明をストロボ発光させることができるコントローラの販売を開始した(図6)。

図6

本製品は、拡散型または集光型といった汎用的なライン照明をはじめ、波長違い(可視光、赤外)や、ドームタイプ、同軸タイプといったやや専門的なライン照明まで、幅広い機種をストロボ発光させることができる。

エリアカメラによる撮像においては、露光タイミングでのみ照明を発光させるストロボ制御は一般的であるが、ラインカメラによる撮像において、ストロボ制御することはこれまであまりなかった。本稿では、ライン照明のストロボ制御の特徴と活用方法を紹介していく。

ライン照明のストロボ発光活用方法

 ラインカメラによる撮像の際には、露光タイミングはエンコーダ信号またはカメラ自体の内部同期信号を基準にし、明るさは露光時間によって制御している。このため、照明側は一定の電圧または電流値で固定して発光を持続させる運用となる。

一般的には上記の運用で特に問題ないが、一部のTDI(=Time Delay Integration)カメラやCIS(=Contact Image Sensor)等、カメラによっては露光時間を制御する機能がないため、搬送側の速度変動やエンコーダ信号のジッター等により、撮像した各ラインの露光時間が変動してしまい、取得した画像の明るさが不安定になることがある。

この場合、照明側の発光時間を一定にしてストロボ制御することで、ラインカメラ側の露光時間が変動しても、取得した画像の明るさを一定に保つことができる。

また、当社は、ストロボ発光対応の光源ボックス+ライトガイドにより、1度のスキャンで複数の画像を取得できる1トリガ3スキャンシステムを販売しているが、本製品を用いることで、ライン照明の使用が可能となり照明の選択肢が広がる。結果、より多くの撮像条件に対応することが可能となる(図7、8)。

図7

図8

コントローラの主な仕様

本製品は、外部からのトリガ入力信号(5Vまたは24Vフォトカプラ)を基準とし、そこからあらかじめ設定した遅延時間経過後、設定した時間分、照明を発光させる。

遅延時間や発光時間はそれぞれ1μ秒単位、0.1μ秒単位で設定でき、またトリガ信号時間が入力されている間だけ発光するモードもある。

さらに、ライン照明に印加する電圧もあらかじめ指定でき、単位発光時間あたりの明るさの調整もできるため、様々な撮像条件に応じた設定が可能である。

接続できる照明の長さについては、消費電力や点灯条件に依存するため一概には言えないものの、比較的消費電力が大きい集光型ライン照明で500mm程度、消費電力が小さい拡散型ライン照明では1,000mm以上にも対応できる。

また、標準製品のライン照明以外にも、個々の案件に応じた特注ライン照明に対応させることも可能である。

導入検討に際して

 本製品は、ケーブル長や照明の消費電力により異なるものの、あらかじめ設定した遅延時間以外に、内部回路に起因して数μ秒~10μ秒程度の遅延が発生する。

このため、高速なスキャンレートが要求される撮像においては、遅延時間の影響が相対的に大きくなる可能性があることから、貸与可能な貸出機や当社のラインカメラ実験用のテスティングルーム等での事前検証が必要となるケースがある。

当社のラインカメラ実験用のテスティングルームでは、通常のラインカメラによる撮像のほか、CIS(=Contact Image Sensor)や1トリガ3スキャンシステム等の撮像テストも可能である。

おわりに

 MV(マシンビジョン)用LED照明メーカとして国内シェアNo.1を誇る当社は、「光を科学し、社会に貢献する」を基本理念として活動を展開している。

お客様からの「こんな照明が欲しい」といったご要望・ご期待に対しても高い次元でしっかりと対応する地道な努力によって、各種照明製品を開発し、世に出している。

近年では、「検査環境の構築」を、照明・電源だけの問題ではなく、カメラやレンズなどの周辺機器も含んだ複合的な問題として捉えており、「周辺機器も含んだ最適なソリューション」を提案する「ソリューションベンダー」へと変化を進めている。

レンズやカメラの特性も分析し、ノウハウとして蓄積することで、照明・コントローラ・レンズ・カメラなどの個別最適から、ソリューションとしての全体最適まで提案する当社の取組みは、機器選定の手間を省けるとして好評をいただいている。

また、北は札幌、南は熊本まで全国12拠点に展開しているテスティングルームでは、当社の専任担当が、照明・カメラ・レンズ等を取り揃えた環境の中でお客様と一緒にワーク実験し、最適なソリューションを提案している。

ライティングや検査環境でお困りの際は当社に声をかけていただき、大いにご利用いただきたい。

■問い合わせ
シーシーエス株式会社
TEL:075-415-8277
E-mail:sales@ccs-inc.co.jp
https://www.ccs-inc.co.jp/

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