各種産業分野のプラットフォームとしての VR活用可能性

フォーラムエイトは、創業以来ソフトウェアパッケージ開発技術を基盤として、構造物設計をはじめ土木・建築設計を支援する独創的な汎用ソフトウェア・技術サービスを提供してきた。

中でも、主力製品であるVRシミュレーションソフトUC-win/Roadは、2000年に初版をリリースし、2002年に経産省のソフトウェア ・プロダクト・オブ・ザ・イヤーを受賞。わかりやすい手順と容易な操作によって、専門家でなくても大規模な3次元VR空間を作成できる。

はじめに

UC-win/Roadは多数の3Dモデル素材をWeb DBで提供しており、道路・鉄道の線形、断面、地形処理から交通設定、モデル設定処理などの高精度なデータ作成・編集機能を装備し、多様なVR表示をサポート。

各種プレゼンテーション機能、高度なリアルタイムシミュレーションにより、景観検討、設計協議、事業説明等が効果的に行え、他ソフトの解析データとの連携により、交通流、風、浸水・津波、地震、土石流、火災・避難などのさまざまな解析結果をわかりやすく可視化しシミュレーションを行うことができる。

また、パッケージソフトウェア機能を最大限に活用し、各種センサモデルと連携するプラグインを提供。ドライブシミュレータをはじめとした各種訓練・研究・実験用システムや、ヘッドマウントディスプレイ、ドローンなどのハードウェアとの連携による各種VRシステムを、短期間かつ高いコストパフォーマンスで構築できる。

このため、近年では、道路事業・公共事業における設計協議、合意形成支援に留まらず、自動運転研究・開発など、幅広い産業分野の情報システム全般で活用されている。

多様なシミュレーション機能を搭載したUC-win/RoadのVR技術により、建築・土木、交通・自動車研究、災害対策、環境保全など、さまざまな分野での活用が広がっている。

柔軟な拡張性によりあらゆる分野への応用・展開が可能

UC-win/Roadのこのような多様なシミュレーション機能と拡張性を活かして、近年ではプラグイン開発によるオープンデータとの連携により積極的に取り組んでいる。

これにより、オープンデータがあらゆる分野・用途でのシミュレーションに利活用できることとなり、データに新たな付加価値を生み出し、多様な技術・産業分野を結び付けることにつながっている。

当社はこのようなUC-win/RoadのVR技術を基盤とし、最先端表現技術の横断的な活用・普及を図る(一財)最先端表現技術利用推進協会や、さまざまな産業分野で利用できるVRプラットフォームの整備を目標とした北海道VR推進協議会等の組織をはじめとして、大学や自治体などの機関と連携し、各種プロジェクトを支援している。

事例のひとつとして、東北大学未来科学技術共同研究センター(以下、NICHe)との産学連携が挙げられる。

NICHeは文科省による東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクトの「エネルギー・モビリティマネジメントシステムの研究開発」において、東日本大震災後の東北地域の復興、減災・防災、自動運転の統合的研究を進めており、この過程で、地震時の車両通行や避難のシミュレーションを行うための、被災地の3DVRデータを短期間で構築する必要性が生じていた。

そこで、従来使用していたOpenFlightデータをUC-win/Roadで活用して高精度なVRデータを効率的に作成したいという要望を解決するツールとして、「OpenFlight変換プラグイン・オプション」の開発を行った。

UC-win/Roadオンライン地図読み込みプラグイン・オプション
OpenStreetMapなどのフリー地図から建物や森林などの地物情報をインポートして編集可能(左からOpenStreetMapの地図
情報/OpenStreetMapからインポートした結果/インポート後、編集した例)

これにより、東北地方には山岳部が多いことから地形データの構築時に従来の手法では1つひとつ勾配を作成しなければならなかった作業が大幅に軽減され、UC-win/Roadベースでのシナリオ構築の時間短縮が可能になった。

また、これまではそれぞれ個別のシステムで動かさざるを得なかった異なるフォーマットのデータが同時に動かせるようになり、研究開発の生産性が向上した。

各種産業分野のプラットフォームとしての活用可能性

このように、VRの活用により、設計・検討段階でのシミュレーションがコンピュータ上で行えるようになり、精度向上に加えてコスト削減や工期短縮が見込める。

これは設計支援・景観デザイン、自動車研究をはじめとするあらゆる分野においても当てはまり、UC-win/Roadは3次元VR技術を利用した統合的なツールとして、さまざまな分野でのマーケット増大が考えられる。

UC-win/Roadで変換・構築したデータを連携し三陸自動車道河北ICを3D・VRで表現
(東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)

また、オープンデータをはじめとしたさまざまなデータと連携する拡張プラグイン類が用意されていることから、各種産業分野を結び付けるプラットフォームとしての活用可能性があり、Society5.0を具現化する上でのインフラとして利用されていくことも期待できる。

クラウド機能により関係者間で3DVRをリアルタイム共有し、閲覧・操作できるため、社会公共的なプロジェクトにおいて情報を共有・議論し、合意形成や意思決定をするためのソーシャルコミュニケーションメディアとして、より多くの多様な主体が時間・場所に拘束されることなく参加できることもUC-win/Roadの特長のひとつである。

現在、大規模VR空間データ、設計・図面情報、計測データ等の情報をリアルタイムで一元化管理できる新プロジェクト「VR-NEXT」の開発も進んでおり、今後もさらなる展開が期待される。

※映像情報インダストリアル2019年5・6月号「時代を牽引するVR技術」特集より転載

問い合わせ先
株式会社フォーラムエイト
http://www.forum8.co.jp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください