従来の概念を変えるディープラーニング を用いた画像解析ソフトウェア 「SuaKIT」

近年、あらゆる分野でディープラーニングを使った手法に注目が集まっている。ディープラーニング・AIはPCのクラウド・ビッグデータ等環境の高性能化に伴い、急速に発展した。それらは個別の用途・応用に限定的に適用できるもので、汎用性をもつものではなかった。

しかし、この手法を用いてマシンビジョン用画像処理に汎用性をもたせ、コマーシャルベースに乗る製品としてリリースしたのが韓国に本社を置くSUALAB社である。SUALAB社はディープラーニング、マシンビジョン、スーパーコンピューティングの技術を基盤とし、人間の目にとって代わる様々なマシンビジョンシステムを研究、開発している。

SUALAB社がリリースしたSuaKIT(図1)は、産業用の画像解析を目的とした、プログラムレスで手軽に画像検出、画像判断可能なディープラーニング・ベースのソフトウェアである。本稿ではSuaKITを構成する2つのツールとについて、SuaKITの概要を解説、紹介する。

図1 「SuaKIT」
SuaKITは、2つのツール「セグメンテーション」 「クラシフィケーション」により、構成される。

1.「SuaKIT」の解析手法

基本的に、必要なことは一定数の画像サンプルを収集することである。特定の箇所を任意でマークすることで、より正確な識別が可能である。SuaKITはいかにしてタスクを遂行するか、いかにして目視検査と同等以上の品質を達成するかを自力で学習する。なお、これを「学習フェーズ」と呼び、およそ数十分で完了する。

「評価フェーズ」では、評価(検査)したい未知のサンプルを与え、SuaKITは見るべき部分にのみ焦点を合わせ、何が重要で何が重要でないかを学習する。また、学習データ(.netファイル)を入れ替えるだけで、簡単に検査アルゴリズムを入れ替えることができ、少量多品種への素早い対応を可能にする(図2)。

図2 SuaKIT解析手法イメージ

SuaKITは2つのツールにより構成され、セグメンテーション(特定部分の検出) クラシフィケーション(複数種の仕分け)で使用することも可能である。以下に、詳しく紹介する。

2.「SuaKIT」を構成する2ツール

2.1 セグメンテーション(特定部分の検出)
セグメンテーションは例外や外観上の欠陥を検出するのに使用できる。たとえば、食品の亀裂や破れ(図3)、工具の NG 箇所検査(図4)などである。

図3 ハムの欠陥検出

図4 ドリルのNG箇所検出

セグメンテーションは、シンプルに物体の外観を学習することによって、そのほかにも多くの課題を見分けることが可能である。また、欠陥など特定のエリアと他のエリアを区分けするのに使用できる。たとえば、自動車ナンバープレートの検出(図5)などである。セグメンテーションはこれらすべての対象をシンプルに外観の差異によって学習する。

図5 自動車のナンバープレート検出

2.2 クラシフィケーション(複数種の仕分け)
クラシフィケーションは対象を分類するのに使用できる。たとえば、製品の仕分け(図6)などだ。ラベリングされた画像の集団をベースに学習し、クラス分けが可能である。それぞれのクラスに一致するようラベリングされた画像さえ用意すれば、クラシフィケーションで学習させることが可能である。

図6 ハッシュドポテトの焼き加減の仕分け
青タグ:冷凍品/緑タグ:良品/赤タグ:焦げ

3.ユーザフレンドリーな操作画面(セグメンテーション)

セグメンテーションの操作は次のとおりである。
STEP1:ドラッグ&ドロップで簡単に画像をダウンロード(図7

図7 ドラッグ&ドロップで簡単に画像をダウンロード

STEP2:NG箇所をラベリング(図8

図8 NG箇所をラベリング

STEP3:パラメータを設定し、学習する(図9

図9 パラメータを設定し、学習する

STEP4: 学習結果を未知の画像を使用し、確認する(図10

図10 学習結果を未知の画像を使用し、確認する

STEP5: 学習結果は.netファイルとして出力される(図11

図11 学習結果は.netファイルとして出力される

4.スアキットのベネフィット

・高精度
様々な製造業の顧客と共同開発し精度の高いアルゴリズムと手法を用いている。

・高速
UDAやcuDNNを使用し、高速でディープラーニングを処理することで、従来の画像解析のような速度で解析可能である。

・ローコスト
SuaKITを導入することで、画像検査の導入が飛躍的に早まり、工数と費用のコストダウンを実現する。

5.主な仕様

SuaKITを使用する際に必要な仕様を以下に示す。

6.おわりに

SuaKITは、従来必要とされていたプログラミングが必要なく、GUI上で欠陥あるいは特徴等の学習をさせるだけで画像処理が可能である。その結果、開発時間も従来に比べると数十分の一の時間で結果を得ることができる。また、人間的な解析手法を用いているため、従来の画像処理手法では非常に困難であった検出が可能となった。

ディープラーニングは、通常ビックデータを用いて多くの学習が必要だが、SuaKITは特徴抽出をするエリアを検出して自己学習を行うので、通常のサンプル数に比較して数千から数万分の一で学習が終了する。したがって、短時間で学習も終了する。

SuaKITで作成された機械に組み込むためにソフトウェア(画像処理API)は、非常にコンパクトでGPUで動作できるが、PCのスペックに依存する。しかし、今後PCの性能の向上、IoTによるビッグデータ、クラウドネットワークの充実により、データ量、交信速度はさらに高速化され、SuaKITを使用する環境は改善すると思われる。

また、高性能FPGA、メモリ搭載など、カメラのスマート化も加速している。SuaKITによるAPIが搭載されたカメラが可能になると思われる。今後、組み込み用途への需要が拡大するものと期待している。

※画像認識の極み“ディープラーニング”より転載

問い合わせ先
株式会社アプロリンク
TEL:047-495-0206
URL:http://www.aprolink.jp/

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