IDS、uEye 産業用カメラによる脊椎および姿勢の光学分析―画像分析による脊椎の診断―

ドイツでは、腰痛は病欠の主な理由になっている。運動不足や、作業時に体の片方だけに力をかけること、太りすぎなどが主な原因である。

筋肉や靱帯の硬直も伴い、脊椎や椎間板の摩耗および断裂が生じることもある。骨粗鬆症、慢性炎症、脊柱側湾症などの脊柱変形なども原因となる。画期的な静止身体 4D 測定システムを使用すると、正確な診断が可能になる。

DIERS International GmbH (ドイツ) の DIERS formetric 4D は、放射線を使わずに、人体の腰、脊椎、骨盤の非接触の高解像度測定を高速に実行できる。

移動型バージョンと、頸椎の動きまたは歩行解析の判定、下肢軸測定のための追加モジュールを備え、コンパクトな移動式分析ラボとして利用できる。IDS Imaging Development Systems GmbH の uEye 産業用カメラを搭載した最大 5 台のカメラユニットが内蔵される。

用途

DIERS formetric 製品ファミリーは、身体の静力学および姿勢の客観的および定量的分析に関する臨床上のさまざまな疑問に対処する。脊柱側湾症などの変形やあらゆる形態の脊椎奇形を視覚化し、多様な進行検査を実行できる。

これにより、整形外科医などのユーザは筋肉系の不均衡や既存の異常姿勢を検出できる。測定は静止状態で行われ、患者はシステムの前面に直立する。

DIERS formetric 4D による背中側のスキャン

DIERS formetric の測量技術は、物理的には三角測量の原理に基づいている。光プロジェクタが光線のグリッドを患者の背中に照射し、これをカメラユニットで記録する。

コンピュータソフトウェアが光線の曲率を解析し、写真測量法 (画像測定) の手法を使用して、表面の 3 次元画像を生成する。この手法は仮想的な石膏型取りに似ている。

検査は迅速で、放射線は使用せず、患者に接触することなく実行されます。本体と動作に必要な空間はわずか 1.5 x 3 m で、経済性は高いものである。

脊椎の表面、高さマップ、脊椎の曲がり、ストリップ投影 (f.l.t.r.)

他のシステムと比較して、DIERS formetric は背中の表面モデルを提供するほか、反射マーカー不要で脊椎の 3D モデルを提供します。脊椎の方向と骨盤の位置を再現します。4D テクノロジー (3D + 時間成分) により、精度が極めて高くなり、3D 手法よりも臨床上の情報価値が大幅に向上します。一連の測定の平均値を取ることで、検査中のわずかな身体の動きが結果に及ぼす影響を最小化できます。さらに、連続した測定により、姿勢分析と機能調査を実行できます。

全体的な動作分析のための追加コンポーネント

動作中の検査を実行できるようにするため、同社は DIERS formetric システムシリーズに動的バージョンを用意している。それが DIERS 4D motion® である。患者はトレッドミルの上で走る。

最新の投影およびカメラ技術 (毎秒 60 枚の画像) と特別に開発されたソフトウェアを使用して、歩行中の頸椎と骨盤の複雑な相互作用を測定し、動画に表示できる。

これにより、椎体の回転の解析と、頸椎の移動モデルの作成が可能である。脊椎矯正や靴の中敷きの使用による脚長差補正などをシミュレーションできる。

脊椎の動的測定

追加モジュールにより、コンパクトな動作分析ラボにまで用途を広げられる。ビデオベースの下肢軸ジオメトリを解析するオプションのカメラモジュール DIERS leg axis posterior および lateral なら、姿勢や動作シーケンスでの非対称を判定し、記録できる。

システムソフトウェアが患者に貼付された反射マーカーを検出し、移動パターン (動的) と角度 (静的および動的) を計算する。下肢および姿勢の矯正の場合、下肢軸への影響が直接表示され、確認できる。

ビデオによる歩行解析と下肢軸測

追加モジュール「Cervical Spine」により、頸椎の動きを 3 次元で記録することもできる。測定データと不均衡がグラフィカルに表示され、分析に使用できる。

測定プロセスは特殊なヘッドギアを使用して行われる。DIERS formetric 4D システムでは、Cervical Spine モジュールには追加のカメラシステムが必要である。

最高 30 km/h までのランニング速度の全体的な動作分析ができるハイエンドソリューションである DIERS 4D high performance Lab も、ユーザ向けに提供される。

ここでのコアテクノロジーも DIERS formetric 4D の腰部および脊椎測定デバイスで、全方向から下肢をビデオによって歩行解析を行う 4 台の高速で強力な IDS カメラと、内蔵足圧測定板を備えたトレッドミルが組み合わされている。すべてのデバイスは全身を同時測定できるように組み合わされる。

最高 30 km/h までのランニング速度の全体的な動作分析

これらのデバイスやその他の測定システムを統合し、人体の筋骨格系における複雑な生体力学的な相互作用を全体として、初めて視覚化できるようになった。使用範囲は医療診断からトレーニング療法、スポーツ科学にまで及ぶ。

脊椎側湾症、骨盤傾斜および回転の検出、骨粗鬆症および関節症の進行管理、神経学的検査 (ロンベルグ試験など)、姿勢検査 (Matthiass 試験、フラミンゴ試験など) など、多様なことが可能になる。

ユニットごとに IDS 製の uEye CP 産業用カメラを最大 5 台まで使用する。「弊社のユニットでは UI-3040CP と UI-3240CP を使用します。両モデルが発揮する USB 3 インタフェイスと速度には満足しています」と、DIERS International GmbH の業務執行取締役兼 CEO の Christian Diers 氏は言う。

ユニットごとに最大 5 台の uEye カメラを使用

uEye CP は「コンパクトパワー」を示している。高レベルの機能と、包括的なピクセル前処理、わずか 29 x 29 x 29 mm. という小型サイズにより、あらゆる種類の産業用途に適している。

120 MB の内蔵画像メモリで画像シーケンスをバッファリングし、マルチカメラシステムにも対応できる。USB 3.0 カメラは 420 MByte/s の高速データレートで、CPU 負荷が低く、統合が容易である。

Sony、CMOSIS、e2v、ON Semiconductor などのメーカによる、さまざまな解像度の多数の先進的な CMOS センサから選択できる。

モデル UI-3040CP-M-GL Rev. 2 により、暗い条件や高速で動く物体を撮影するときでも、卓越した画質を実現する。Sony Pregius シリーズの内蔵 IMX273 グローバルシャッタ CMOS センサは、画質、高感度、ワイドダイナミックレンジの面で特に優れている。

3.45 µm ピクセルでの解像度は 1.57 MPixel (1448 x 1086 px) で、243 fps という圧倒的な性能を発揮する。表面検査などの従来の産業用途や、医療技術での画像の詳細評価にも最適なカメラである。

UI-3240CP-M-GL Rev.2 は e2v 1.3 メガピクセル CMOS センサを搭載した、強力な産業用カメラである。これは、IDS ポートフォリオの中でも感度の最も高いセンサである。

卓越した光感度に加えて、多数の追加機能も秀逸である。例を挙げると、センサにはグローバルシャッタとローリングシャッタの 2 つのモデルがあり、操作中に切り替えられるので、要件や環境条件の変化に柔軟に対処できる。

カメラモジュール DIERS leg axis posterior high performance

両方のモデルとも、顧客のアプリケーションに容易に統合できると、Christian Diers 氏は請け合う。

「私たちは IDS SDK を使用してカメラをソフトウェアに統合しました。私たちにとって、適切な機能の検証がシンプルで、カメラのシステムへの統合が容易なことが、新たな付加価値となりました。輝度やコントラストなどの環境設定は、IDS ソフトウェアパッケージで制御されます」

今後の予定

医療技術市場は規制が非常に厳しいため、製品の変更や新開発は、入念な認定および承認手続きを踏んで検討しなければならない。同時に、価格へのプレッシャーも高まっている。

そうした中で DIERS は目下のところ、インソール生産からリハビリおよび治療分野における研究プロジェクトまで、さまざまな新開発に取り組んでいる。従来の 2D 産業用カメラの使用に加えて、3D モデルもまた検討され、本質的に空間要素が導入される。

医療技術は研究開発にとって刺激的な環境で、新製品によって患者に新たな希望や考え方をもたらすことがよくある。画像処理はこの分野で多様な用途があり、まったく新しい分析および診断手順を実現する可能性を備えている。

すなわち完全な非接触型で、放射線を使用せず、治療対象者にとってやさしく痛みを伴わないものである。それが DIERS International が追求するものである。脊椎の画像分析を進めていくことで、アプリケーションの将来性を見出していく。

・クライアント
DIERS International GmbH は、1996 年創業の、生体力学的測定システムの開発、製造、流通を成功させてきた、革新的な家族経営の企業。ここでの目的は、高まり続ける融合医学の臨床要件を満たすことである。そのため同社は、人体の筋骨格系を測定する、さまざまなシステムを提供している。
https://www.diers.com/

■問い合わせ
アイ・ディー・エス株式会社
TEL:03-6260-0833
E-mail:apacsales@ids-imaging.com
https://jp.ids-imaging.com/

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