製造業は現在、さまざまな課題に直面している。技術革新、差し迫った環境問題、グローバリゼーションは、新技術への投資、資源の節約、サプライチェーンの最適化と確保など、多くの調整を必要とする。
グローバルに展開する企業は変化する環境に対処すると同時に、サプライチェーンでの問題を管理しなければならない。製造の拠点を国内市場に戻すことが、選択肢として注目を集めている。
これにはレジリエンスに加えて、厳格な環境規制へのコンプライアンスとコスト削減戦略が、国内での製造で競争力を確保するために必要になる。さらに、国内生産で競争力を維持するには、人材面でのボトルネックを解消する必要がある。
長年にわたってロボットを使用した自動化がその推進力となっており、人工知能 (AI) がこの重要な役割を担うようになってきている。このテクノロジーの発展は、自動化へのプレッシャーが増すにつれて加速している。
自社の生産工程をAIでマッピングするためには、可能な限りシンプルにAIを統合し、トレーニング段階を短縮することが、すでに決定的な要素となりつつある。
英国のスタートアップ企業 Cambrian Robotics Limited は、製造業のさまざまなロボットアプリケーション向けの完全に AI ベースのソリューションを投入した。
迅速なビンピッキングやピックアンドプレース、機械への正確な部品供給、マテリアルハンドリングのさまざまな作業工程を引き継ぎ、組立作業や倉庫ロジスティクスの効率化に貢献する。
簡単に統合できるこのシステムは、ロボットアーム用モジュール、インテリジェントソフトウェアがプリインストールされたコンピューティングユニット、カメラモジュールで構成され、それぞれにIDSのuEye+ XCPカメラが2台搭載されている。
「カメラのタスクは、処理する対象物の、あるエリアを撮影することです。その記録に基づいて、ソフトウェアはシーンを分析し、対象物がどこにあるかを正確に認識することができます」と、Cambrian Robotics の創立者兼 CEO、Miika Satori 氏は説明する。
画像のさらなる処理は、部品の位置やピックポイントを予測するために特別に開発された自己学習ソフトウェアであるCambrian Visionの心臓部の助けを借りて行われる。AI をベースとして画像のマッチングを行うので、従来の 3D 点群は不要である。
シミュレーションしたデータに基づき、AI は独立して学習し、取り外しポイントと部品を極めて高い精度で特定する。部品認識の AI モデルとロボットとの通信は、強力な GPU (Graphics Processing Unit) で制御される。そしてソフトウェアは迅速に学習する。
「Cambrian のソフトウェアパッケージで、新しい部品のピックポイントを定義でき、アプリケーションはわずか 2 ~ 5 分で構成できます」と同社の創立者 Satori 氏は言う。
関連するカメラモジュールが 2 台の省スペースの XCP 産業用カメラに取り付けられている。
「2 台の IDS カメラが、ステレオビジョンの原理に従って異なる視野角から物体のシーンの画像を撮影します。問題は、把持する部品の位置をこれらの画像からできるだけ正確に決定することです。これも AI が担当するタスクです」と Miika Satori 氏は言う。
画像撮影、AI モデル、特殊画像処理の組み合わせにより、記録ポイントと位置を極めて正確に決定できるようになった。
標準的な 3D ビンピッキング向け CAD アプリケーションは、構造化照明やセンサーを使用してこれを行うことが多く、環境に何かを投影し、点群を作成してその中の部品を見つけようとする。Cambrian では、3D カメラではなく、2 台のスタンダードな IDS 産業用カメラのみを使用する。
1 mm 未満の精度を誇る Cambrian Vision は、競合システムよりも正確でもる。
「このシステムは、光沢があり光を反射するコンポーネントや透明なコンポーネントなど、これまでのマシンビジョンシステムでは限界に達していたような、多様な部品を確実に検出します。それと同時に、外部照明条件に対しても耐性を維持しています」と、Miika Satori 氏はソリューションの基本部分であるカメラの特殊要件について説明する。
「非常に高速でもあり、推論速度は 170 ミリ秒未満で、競合ソリューションの多くは 1000 ミリ秒以上です」 高速な計算時間により、ビンピッキング設定ではサイクルタイムは2~3秒である。
「これにより、1 回で効率的で正確な実行が可能です」と Miika Satori 氏は話す。One-Shot システムは現在、市場で最も高速な AI 画像認識システムの 1 つとなっている。
これを可能にしたのが SuperSpeed USB 5 Gbps カメラで、特に周辺光が暗い状況や変化する照明条件での用途において、どのような環境でも詳細な画像評価用に高解像度データを確実に提供する。
BSI (バックサイドイルミネーション) ピクセルテクノロジーを活用した統合センサ (1/2.5 インチ 5.04 MPixel ローリングシャッタ CMOS センサ onsemi AR0521) が、暗い環境でも安定したパフォーマンスを発揮し、NIR (近赤外線) 範囲でも高感度を実現し、uEye XCP はほぼあらゆる照明条件で高画質を低ピクセルノイズで提供する。
コンパクトで軽量なフルハウジング (29 x 29 x 17 mm、61 g) およびねじ止め式 USB Micro-B コネクタを備えた USB3 XCP は、オートメーション分野でのロボットおよびコボットとの併用に特に適している。
USB3 と Vision Standard との互換性 (U3V/GenICam) により、XCP カメラはどの画像処理システムにも容易に統合でき、基本的に適格なあらゆるソフトウェアと併用できる。
標準インタフェイスによるシンプルな統合は、Miika Satori 氏にとって特に優れたメリットであった。
「お客様の要件に応じて、その他の IDS カメラを私たちのシステムで使用します。標準化されたインターフェースにより、さまざまな uEye モデルを迅速に導入できます」
一般的なレンズと互換性のあるIDSの幅広いカメラは、カスタムCambrian Visionソリューションのアイとして使用でき、生産パフォーマンスを最大化するのに役立つ。
強力なIDSカメラとインテリジェントなソフトウェアにより、最高速度、特に高い耐光性、広いコンポーネント帯域幅を実現したこのシステムは、生産環境でのオートメーションタスクに特に適している
効率性におけるもう1つの重要な要素は、Cambrian Vision の容易な統合である。インテリジェントな 3D ビジョンシステムはロボットに関するトレーニングを受けなくてもすぐに使用でき、従来の手法よりもはるかに迅速である。
したがって企業はオートメーションのメリットをすばやく活用できる。製品の品質と従業員の安全性を向上させながら、より効率的で競争力のある持続可能な経営を行うことで、資源を節約し、コストを削減する。
今後の展望
「ロボット工学における AI の使用はまだ黎明期にあります」と Miika Satori 氏は言う。
需要が増加しているため、AI による画像処理の分野の開発はさらに発展し、より高いデータレートのカメラと高速で大型化したセンサ、確実な基本機能を持つさらに手頃な価格のモデルも市場に登場するだろう。
「産業用カメラの小型化と低価格化が進んでいます。これにより、さらに用途が広がります。私たちのビジョンは、ロボットに人間と同じレベルの機能を持たせることです」
AI 対応のロボットを単調な反復タスクに使用すると、人員をより創造的で生産性があり、価値あるタスクに振り向けることができる。
uEye XCP – 業界最小の C マウント付きハウジングカメラ
・クライアント
ロボットと人工知能を組み合わせて、Cambrian Robotics は製品製造において人間の作業を置き換える生産ツールを開発している。インテリジェントなオートメーションを利用して、コストを削減し、人間が有意義なタスクにかける時間を増やしている。
Cambrian Vision は完全に AI ベースのソリューションで、ビンピッキング、組み立て、特徴認識および位置決め、ピックアンドプレース、配置、配線およびケーブルアセンブリなど、製造におけるさまざまなロボットアプリケーションに対応する。
■著者
Silke von Gemmingen
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