4K トライリニア式カラーラインスキャンカメラに 10GigE インタフェースを備えた新機種をラインナップ

JAI は SW-4000TL トライリニア式カラーラインスキャンカメラの新機種を発表した。新しい SW-4000TL-10GE は、従来モデルの SW-4000TL-PMCL モデルと同じ 4K(4096 ピクセル)のライン解像度による 24 ビット非補間の RGB 出力が可能で、スキャンレートは 66kHz である。

また従来モデルに搭載されていた Camera Link インタフェースの代わりに、下位互換性を有した10GigE インタフェースを備えている。

これはホスト PC のネットワーク環境がサポートしている伝送速度に合わせて出力の伝送量を自動調整することができる多用途な「GigE Vision」に準拠したインタフェースである。

オートネゴシエーション技術によって、カメラヘッドからの出力伝送レートが 10GBASE-T(10Gbps)から NBASE-T(5Gbps および 2.5Gbps)、または従来の 1000BASE-T(1Gbps)へと自動で調整される下位互換性が確保されている。

この技術によって SW-4000TL-10GE は幅広いアプリケーションにお使いいただくことができ、「イーサネット環境の柔軟性を必要としているものの、将来は高速なネットワーク環境に徐々に移行したい」というユーザーには最適な 4K トライリニア式カラーラインスキャンカメラである。

SW-4000TL-10GEの特徴

SW-4000TL-10GE には高性能トライリニア撮像技術だけでなく、JAI 以外の高速トライリニア式カメラには搭載されていない数多くのユニークな機能が備わっている。

そのため、これまではプリズム式のカラーラインスキャンカメラでなければ対応できないと考えられていたアプリケーションに、低コストで魅力的な「トライリニア式カラーラインスキャンカメラ」という選択肢を加えることになる。

たとえば、カスタム仕様の CMOS センサは 3 ラインではなく、7.5μm スクエアピクセルが R・G・B 各色について 2 ラインずつ並ぶ合計 6 ラインとなっている。

6 ラインのピクセル配置によって、SW-4000TL-10GE では「水平ビニング」と「垂直ビニング」に加えて、「水平+垂直ビニング」という特徴的な機能を実現することができた。これは市場に存在する JAI 以外の高速トライリニア式カメラには実装されていない。

6 ライン活用によるビニング処理のアーキテクチャは、単一のフローティングディフュージョン(FD)を用いて 2 つのピクセルの電荷を同じ FD から読み出すことができるため、ノイズ成分を増加させることなく信号を 2 倍にゲインアップすることができる。

感度を劇的に向上させながらノイズが少ないクリアなイメージを提供できる JAI だけが持つ技術である。

SW-4000TL-10GE

また特徴的なもう 1 つの独自機能に、標準的な RGB カラースペースから「sRGB」、「Adobe RGB」、「HSI」、「CIE-EYZ」といった、特定のアプリケーションに固有で求められるカラースペースにカメラヘッド内で変換して出力させるカラースペースコンバージョン(CSC)がある。

JAI の CSC 機能はさらに一歩踏み込んで、ユーザー独自に設定した「カスタム RGB カラースペース」を変換マトリックス回路に読み込ませることもできる仕様となっている。

さらに SW-4000TL-10GE は、R・G・B 各チャンネルの出力同期と位置合わせを適切に維持するため、空間補正機能と傾斜ビュー補正機能を備えている。

独立した入力ラインを4系統も有しており、最大で 2 つのロータリーエンコーダとカメラをダイレクトに接続することができる。

これまでエンコーダとの接続にはフレームグラバーを介していましたが、カメラとエンコーダがダイレクトに接続できるようになったことで、ケーブル接続も簡素化されて、フレームグラバーとカメラの間で発生するラインドロップの可能性も減少する。

エンコーダとのダイレクト接続によって、複数の SW-4000TL-10GE カメラを用いるマルチカメラのアプリケーションでは、カメラ相互をデイジーチェーン接続することができたり、スキャン方向が変化したかどうかを自動的に検知したりすることもできるようになった。

撮像対象の移動方向が逆転したと検出された場合には、空間補正機能によって正しくラインシーケンスを調整することができる。

この機能は、往復するスライドテーブルに乗った被写体を撮像する検査システムなどでは、たいへん効率的にキャプチャーすることができる。

その他にも標準機能として、ゲイン調整、黒レベル調整、手動または自動によるホワイトバランス調整、シェーディング補正、PRNU/DSNU 補正、タイムスタンプ機能、遅延読み出し機能、アクションコマンド設定、GenICam 準拠のチャンクデータ(メタデータ)出力など、「GigE Vision」で標準サポートされている機能はすべて備わっている。

SW-4000TL-10GE は標準の RJ-45 コネクタを装備している。カメラが動作しているイーサネット環境に応じて、Cat5e、Cat6/6e/6A、または Cat7 ケーブルを介して、YUV422_8 および YUV422_8_UYVY フォーマットでの出力も可能である。

また「3×8 ビット出力」もしくは「3×10 ビット出力」はユーザーが任意に選択可能である。レンズマウントの違いによって「ニコン F マウント」または「M42x1 マウント(フランジバック距離 16mm)」の 2 機種の中から選ぶことができる。

■問い合わせ
株式会社ジェイエイアイコーポレーション
https://www.jai.com/jp/

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