赤外線カメラによる撮像に適した照明の重要性

食品業界における異物混入や外観検査において、赤外線カメラの低価格化、画質の向上等に伴ってその導入が進みつつあるが、効果的な画像を得るためには用途に適した専用の照明を使用する必要がある。本稿では、食品検査における赤外照明の有効性や活用事例等を紹介する。

赤外線カメラの導入

一般的に人の目が感知できる可視光の波長は400~700nm程度とされており、これより長い波長が赤外線とされている。赤外線を利用した食品の画像検査はこれまでも行われており、従来からある一般的な画像検査用の産業用カメラも多く用いられている。これらのカメラでは可視光の波長だけではなく、赤外線のうち比較的波長の短い1,000nm程度までは低いながらも感度をもっているものも多く、この波長帯域では画像を取得することができる。しかし近年、より長い波長の赤外線の帯域に感度をもった専用の赤外線カメラが普及しつつある。

900~1,700nm程度の波長帯域に感度をもつものが多くラインナップされており、最近はより長い2,550nmまで感度をもつものも発売されている。感知できる波長帯域の幅が広がっただけでなく、高解像度化やラインスキャンタイプの登場等もあり、様々な検査への応用が可能となってきている。 こうした赤外線カメラでは、従来からある画像検査用の産業用カメラでは得ることのできない画像を取得することができ、これまで不可能であった検査が可能となりつつある。ただし、このような赤外線カメラを使用する場合、それらに適した専用の照明を利用することが不可欠となる。というのも、一般的な蛍光灯や白色LED照明には赤外線がほとんど含まれていないため、これらの照明を使用しても赤外線カメラでは有効な画像を得ることはできないためである。

従来の1,000nm程度までの感度をもつ産業用カメラによる赤外線を使用した画像取得では、850nm前後や950nm前後に放射のピークをもつLED照明が多く使用されていたが、赤外線カメラはさらに長い波長に感度をもつため、このような照明も有効ではない。このため、当社ではより長い波長に対応したLED照明および特殊ハロゲン照明のラインナップを拡充している。

赤外照明のラインナップ

上記のような赤外線カメラによる画像取得に対応するため、赤外LEDを使用した照明としては、従来からある850nm、950nmだけでなく、1,050~1,550nmの範囲にピーク波長をもつ各種LED照明をラインナップしており、検査内容に応じて最適な波長を選択することができる。形状やサイズも用途や設置条件等に合わせて様々なタイプを製作可能である。バータイプやリングタイプ、同軸タイプ、面タイプ等もあり、反射照明構成だけでなく、透過型の撮像構成にも対応できる(図1)。


図1 赤外LED照明の製品例

これらの赤外LED照明は従来からある可視光のLED照明と同じように使用することができるため、応用範囲が広い。 また、さらに長い波長が必要とされる赤外線カメラに対しては、ハロゲン照明を用いることができる。この波長帯域においてはLED照明では実用的な出力を得ることが難しく、また価格も高くなりがちであることから、従来から利用されているハロゲン照明が有効となる。ハロゲン照明は、ハロゲン光源ボックス+ライトガイドの組み合わせで利用されることが多いが、ライトガイドは赤外線の透過特性に優れているものが少なく、対象物に照射される段階ではその出力が大きく減衰してしまうために、十分な光量を得られないケースも多い。

このため、ライトガイドを用いないタイプのハロゲン照明が有効な選択肢となり得る。しかし、ハロゲン照明はLED照明に比較すると寿命が短く、ハロゲンランプの交換がしばしば発生することがインラインにおける画像検査の妨げとなりがちであった。そこで当社では特殊なカスタムランプを使用した長寿命のハロゲン照明を製品化することでこの問題を回避し、インラインでの検査装置への導入の実績が増えつつある(図2)(表1)。 


図2 ハロゲン照明「TH-200X30CIR」


表1 「TH-200X30CIR」主な仕様

可視から赤外(400~2,500nm付近)まで非常に幅広い波長特性をもつハロゲン照明は、分光分析に利用されるハイパースペクトルカメラにも最適である。ハイパースペクトルカメラは、撮像対象物の各波長に対する反射率や透過率を画像化できるものであり、分光分析や材質の判別等に用いられる。ハイパースペクトルカメラで効果的な画像を取得するためには、幅広い波長を含み、かつ強い出力をもつ光源が必要とされる。これに対応するための特殊な光学系を用いた集光型のハロゲン照明も開発中であり、画像検査の応用範囲を広げることが可能となる。

食品検査分野における事例
赤外線カメラと赤外照明を使用した画像を用いると、従来は困難であった検査が可能となる。たとえば、物質は可視光や赤外線に対してそれぞれ固有の反射特性をもつが、その差を利用した検査が可能となる。図3は穀物に混入した異物の検出の例である。可視光では反射率にほとんど差がないため、混入物を画像から検知するのは困難である。しかし、赤外帯域では反射率の差が大きく、画像中央の異物の反射率が高いため、周囲とのコントラストが明瞭であり、容易に画像処理で検出することができる。 なお、赤外線は可視光に比較すると透過性が高く、一見不透明なものであっても透明であるように撮像することができる。


図3 穀物混入物の検出

また、水分は赤外領域の1,450nm付近の吸収率が高いため、水分がある部分は赤外線が吸収され画像上では黒く撮像される。図4は不透明な白色の包装フィルム内にある内容物の有無の検出である。赤外線は不透明な包装フィルムを透過するが、内容物に含まれる水分が赤外線を吸収する。このために内容物を黒く撮像することができ、その有無を高いコントラストから判別することが可能となる。 同様の効果を用いて、包装のシール部の噛み込み検出等への応用も考えられる。


図4 包装フィルム内の内容物の有無検出

さいごに

当社では赤外カメラおよび赤外照明を用いた撮像テストを実施できるテスティングルームを整えている。950~1,700nmに感度をもつVGA解像度の赤外エリアカメラと、1,100~1,900nmに感度をもつ512画素の赤外ラインカメラを使用することができ、これに合わせた赤外帯域の各種LED照明やハロゲン照明等も準備している。可視光とは異なり赤外線は人の目では感知できないため、赤外線カメラを使用してどのような画像が取得できるかは、実際に撮像してみないとわからないケースが多い。当社のテスティングルームでの検証を通して、検査内容に応じた最適な撮像構成を検証・提案することが可能であり、実際のサンプルを用いての効果の検証にぜひご利用いただきたい。

■シーシーエス株式会社
TEL:075-415-8277
E-mail:koho@ccs-inc.co.jp
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