USB3 Vision対応カメラの紹介

現在の産業用検査装置、工業用や医用の顕微鏡に用いるカメラは、高解像度が要求され、30万画素(VGA)タイプから、80万画素(XGA)タイプ、145万画素(SXGA)タイプ、200万画素(UXGA)タイプ、さらに500万画素へと、一度に広範囲の画像取り込みを可能とする高解像度タイプへ着実に移行している。

デジタル出力タイプのインタフェイスには、CameraLink、USB、GigEがある。その中でも特にUSB3.0は、パソコンに標準搭載されていることが多く、汎用性が高いインタフェイスである。最大の特長は高速データ転送5Gbps(最大)により高画素から低画素までの映像を高フレームレートで伝送でき、映像出力/制御/電源供給のすべてをワンケーブルで実現できる。

さらに画像入力ボードが不要で、安価なケーブルが使用できるため、低価格なシステムの構築を可能である。弊社でもUSB3 Visionインタフェイスカメラのラインナップがあるが、今回新たに、高速200フレーム小型VGAカメラおよび高速60フレーム500万画素カメラをラインナップに追加した。

USB3 Vision対応カメラのラインナップ

表1に弊社のUSB3 Vision対応カメラのラインナップを示す。


表 1 USB3 Vision 対応カメララインナップと主な仕様

ユーザのあらゆる要望に応えられるように画素数は、30万画素のVGAから500万画素までラインナップを揃え、業界最小クラス29mm×29mm×20mmの超小型のシリーズ(KP-F32UB/KP-FD32UB/KP-FM200UB/KP-FMD200UB)と、高画素タイプの44mm×44mm×41mmの500万画素カメラを揃えた。 KP-F32UBの外観を図1に、KP-FM500UBの外観を図2に示す。


図1 KP-F32UB外観


図2 KP-FM500UB外観

主な特長

新たに開発した高速 200 フレーム小型カメラKP-F32UBと高速60フレーム500万画素カメラKP-FM500UBの機能と特長について紹介する。

2.1  CCDの読み出し方式 (KP-F32UB/KP-FD32UB)
200fps、30万画素カメラKP-F32UBに採用した2出力方式CCDは左右独立で映像を読み出すため、同一周波数で通常の1出力方式CCDと比較して単位時間に2倍の情報量を読み出すことが可能である。1出力方式と2出力方式の読出し方式のイメージを図3に示す。本カメラは2出力方式CCDを採用して高フレームレートを実現した。


図3 CCD読出し方式の違い

2.2 4面取りつけ可能な小型筐体(KP-F32UB/KP-FD32UB/KP-FM200UB/KP-FMD200UB)
カメラを装置に組み込むときに取り付ける向きを天面、底面、左右両側面でも固定できるようにカメラのレンズマウント部分の4面に取り付けネジ穴を設けた小型筺体を採用した。

ユーザ装置に合わせて取り付けることができ、空いているネジ穴を利用して放熱性能を高めるための放熱板の取り付けも可能である。USB3タイプにおいて、4面取りつけが可能な機種の中で業界最小サイズの29×29×20mm超小型筐体(VGA, å2M(UXGA)モデル)を実現した(図4、5)。


図4 従来筐体との比較


図5 4面取り付け構造について

2.3 スローモーション機能による高速出力(KP-FM500UB/KP-FMD500UB)
高速出力が可能な高速CMOSセンサを採用した際においても出力インタフェイスの帯域制限により出力フレームレートが制限される。KP-FM500UBのCMOSセンサは最大163fpsで高速出力可能だが、USB3 Visionインタフェイスの帯域制限により最大60fpsで出力する。

USB3 Visionインタフェイスの帯域でも、CMOSセンサの最大フレームレート画像を出力する方法として、スローモーション機能を有している。スローモーション機能の概要を説明する。

高速CMOSセンサから出力された163fpsの高速出力をカメラ内フレームバッファにて記録し、その後、USB3 Visionインタフェイスで出力可能な、帯域に変換してカメラより画像出力する。最大 1 秒間163fpsの高速出力を得ることが可能である。

また、トリガモードおよび画像切り出し機能にも本機能は対応可能である。アプリケーションとして瞬間的に高速画像が必要な工業計測等に有効である(図6)。


図6 スローモーション機能による高速出力

むすび

今回、弊社で実績のあるデジタル映像信号処理技術をもとにUSB3 Visionインタフェイスに対応した、VGA~500万画素タイプのカメラをラインナップした。今後は、さらに高解像度化、高速化の製品を開発し、産業カメラ分野だけでなく、環境センシング用途など幅広く利用できるようなシリーズ展開を推進していく予定である。

※映像情報インダストリアル2017年5月号より転載

※ USB3 VisionとGigE Vision米国AIA(Automated Imaging Association)の登録商標。

■問い合わせ先
株式会社日立国際電気
TEL:042-322-3111
URL:http://www.hitachi-kokusai.co.jp/ 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください