Ximea社は、設立以来センサの性能を最大に発揮する、また用途に合わせたデザインコンセプトのUSBカメラと独自のPCIe IFのカメラを開発 製造してきた。
キャプチャボードを必要としないUSBカメラは、利便性、価格からマシンビジョンカメラとして普及、2013年高速データ転送USB3.0/USB3 Visionの標準化に伴いボリュームゾーンのエリアカメラにおいて採用が加速した。本稿では、Ximea社のUSBカメラのそれぞれのシリーズの特徴を中心に紹介、説明する(図1)。
はじめに
1)Ximea社について
Ximea社は、USB3.0 Visionインタフェイスの規格策定当初から参画しているドイツを拠点とするカメラ専業メーカである。
USB2.0カメラ、USB3.0/USB3 VisionカメラおよびUSB3.1(gen1)カメラ、PCIExpressI/Fカメラ(エンベデッドビジョン用を含む)、X線用冷却CCD、Thunderbolt、超小型ハイパースペクトルカメラなどマシンビジョンから理化学研究用、天文用など多岐用途にユニークなカメラを製品化している。
その設計コンセプトは、小型堅牢、シンプルな回路基板構成、低消費電力(低発熱)、センサの最高機能性能を引き出す、等を重視している。
ラインナップは、用途、目的に合ったカメラの検討・選定がしやすくシリーズ化がされている。自社内設計、製造によりOEM/カスタマイズ製品にも対応しておりフレキシブルに市場要求に対応してきた。
USB2.0とUSB3 Vision /USB3.0(USB3.1)優位性
ボードレスでパソコンに標準装備するUSBポートをIFとして使用できるUSBカメラ2.0カメラは、GigE Vision、IEEE1394カメラのボードレスIFと比較され大きな話題となった。
USB2.0カメラは、PCのChipSetとの互換性の懸 案、480Mbps データ転送の転送性能等でUSB2.0の規格標準化はなされなかった。その後2013年、USB3 Visionとしてマシンビジョン向けUSB3.0インタフェイスの標準規格Ver1.0が策定された。
GenICam準拠のカメラ制御が規格化(カメラ―PC間通信・設定)されたことによりシステムへの導入が容易にった。カメライベント制御の他ケーブル・コネクタについても定義されている。USB3.0は、現行のPCのほとんどに標準搭載されるインタフェイスでカメラ用の専用画像入力ボードは不要。
データ転送速度400MB/s(5Gbps)の高速通信(GigE:115MB/s, CameraLink Base Config:255MB/s)を1本のケーブルにて電源供給も行え、シンプルな構成でハイスペック・ローコストなシステム構築を可能にした。
そしてプラグアンドプレイにて簡単に使用可能である。また、ノートパソコンにてシステム構築が可能となりポータブルシステムとして利用可能になる。HUB(帯域幅は、共有)などを使用することにより簡単にマルチカメラシステムの構築も行える。
規格概要
USB3.1の規格が発表され、従来のUSB3.0の仕様に比べ、データの転送速度の高速化、電源供給能力が向上。USB3.1(Gen2)によるデータ転送帯域のさらなる拡大が見込まれる。
Ximea社 USB3 Visionカメラの特長・仕様
1)USB3.0 低消費電力(低発熱)・小型・高速カメラxiQシリーズ(図2)
26.4×26.6mmのコンパクト筐体に30万画素から400万画素の特長、実績あるCMOSセンサ(グローバルシャッタ)を搭載したシリーズである。
【特長】
• 一基板構造
• 小 型(W × H × D):26.4 × 26.4 × 25.3~30.2mm、モジュール型筐体
• 低発熱・低消費電力:0.9~1.8W
• グローバルシャッタCMOS搭載
• (USB3 Vision/XIMEA MQ)Protocolの切り替えが可能
• 30万画素500fps~400万画素90fps、5機種ラインナップ(図3)
2)USB3.1(Gen1)高画質、高解像度・小型・高速カメラxiCシリーズ(図4)
SONY Pregiusセンサ搭載に特化したシリーズで、従来のインタフェイス(USB1.1,2.0,3.0)に対応している。
【特長】
• 高画質Premium Sony CMOSを搭載
• 小型(W×H×D):26.4×26.4×32.8mm、モジュール型筐体
• 低発熱・低消費電力:2.4~3.25W
• グローバルシャッタ
• USB3 Vision
• 230万画素165fps~1240万画素31fps、5機種ラインナップ(図5)
3)USB3.0高解像度X-Rayカメラ(図6、7)
11から16MPのセンサに5mmファイバ光学系を介してシンチレータプレートが結合されたXray用USB3.0カメラ。
【特長】
• 5−100keV X-Rayに適応
• 堅牢、型コンパクトな設計
• 超低ノイズCCDセンサを最適化し高画質、高感度
• 5mmファイバ光学系がX-Rayからセンサを防御
4)Viewerソフトウェア「XIMEACamTool」
XIMEA CamToolは、カメラパラメータの設定を行い、カメラを制御しライブ映像表示をはじめ、画像および動画の簡易保存が可能なマルチプラットフォームのビューアアプリケーションである(図8)。
【特長】
• マルチカメラ(複数カメラ)コントロールに対応
• 画像および動画(AVI)の簡易保存が可能
• ヒストグラム、ラインプロファイル表示機能、LUT(Look up table)、などユーザプラグイン構造になっており、カスタマイズが可能。
• 対応OS:Windows, Linux, Mac OSX, ARM
• 第三者ライブラリをサポート。
Ximea社 USB2.0カメラ
USB2.0 15×15mm超小型高解像度カメラxiMU(図9)。GenICamに対応したUSB2.0カメラである。500万画素高解像度センサを搭載。組込み用として最適である(図10)。
【特長】
• 5MPローリングシャッタ グローバルリセット
• スキッピング、ビニング、ROI設定機能
• 超小型(W×H×D):15×15×8.5mm
• 低発熱・低消費電力:0.9~1.8W
• Sマウントレンズ対応(M12)
• 対応 OS:Windows/Linux/Ubuntu/ARM/MacOS X
• GPIOコネクタ装備
• ラズベリーパイ接続(要問合せ)
用途・応用例(図11、12)
• マシンビジョン:外観検査、文字認識、位置決め、ライン監視、3D計測・検査
• 組込み:ロボット制御、ウェアラブル、ステレオカメラ、ドローン搭載、センシング
• 観察:スポーツモーション、解析マルチカメラ多方向撮影
• 監視:交通・車輌監視、セキュリティ
• 理化学&研究:顕微観測、生体研究、ハイパースペクトル など
おわりに
Ximea社 USBカメラを説明紹介した。USB3.0は当初ChipSetとの相性、高データレートのため、パソコンの性能やOSバージョンを起因する等の懸案があった。CPU性能の向上、高性能のパソコンを安価に入手できる現在、USB3.0の画像転送データを安定に取得できる環境が整った。
複数カメラの同時動作、同期動作も可能である。また、マシンビジョン用途で要求される転送距離についても>5m転送が可能なケーブルがリリースされ、利便性も改善されている。
Ximea社xiQ,xiCは、コンパクト筐体で低発熱のUSB3.0 Visionカメラである。装着するレンズへの熱の影響が少なく市場で高い評価をいただいている。
さてディープラーニングAIベースの画像ライブラリの登場は、画像処理用途の拡大をもたらしている。これは、従来センサで検査管理されていた生産工程に画像処理の検討、採用の促進するものある。
安価で簡単に画像をPCに取り込めるUSBカメラは、この分野での普及が見込まれる。コンパクトなXimea社カメラは、センサの置き換えに適応すると思われる。
現在USB3.0に対応していないラズパイとの接続は、USB2.0対応コンパチのxiMU,xiCが、対応可能である。 CMOSセンサの高速化、高画素化、高感度とともにUSBカメラは、マシンビジョン市場において利便性を高め進化し需要が増すと考えられる。
Ximea社は、市場の要求を把握し、用途・応用を適合するUSB/USB Visionカメラまたエンベデッドビジョンを視野に入れたPCIe IF(PCIeバスに直結接続)のカメラ開発を進めている。今後のXimea社製品のリリースに期待が高まる。
■問い合わせ
株式会社アプロリンク
イメージング事業部
TEL:047-495-0206
E-mail:sales@aprolink.jp
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