人の眼で識別できない情報を可視化できる
高性能マルチスペクトルカメラシステム新開発

富士フイルム株式会社は、長年培った光学技術と最先端の画像処理技術を結集し、高性能マルチスペクトルカメラシステムを新たに開発した。

本システムは、世界で初めて偏光方式*1 を採用し、最大9つの波長に分光した映像(分光映像)を高精細かつ同時に撮影して、リアルタイムに表示することが可能である。

人の眼で識別できない情報を分光映像で可視化するため、製造ラインにおける高効率・高精度な品質検査、農作物の詳細な生育状況の把握などを実現し、生産性向上に大きく貢献する。

*1 特定の方向に振動する光(偏光)を利用した方式。

マルチスペクトルカメラとは

光は、様々な波長(スペクトル)で構成されており、対象物によって強く反射される光の波長が異なるといった性質を有している。

マルチスペクトルカメラは、対象物から反射された特定の波長の光をとらえることで、人の眼では識別できない情報を可視化するものである。たとえば、製造ラインでは、異物検出に最適な波長の光を映像化して品質検査が可能である。

また農業の現場では、植物の光合成に不可欠な葉緑素が強く反射する波長の光をとらえた映像により農作物の生育観察を行うことができる。

光の3原色(赤・緑・青)を利用した一般的なカメラや長年の経験・ノウハウを有する熟練作業者による目視よりも高効率・高精度な検査・観察を実現するため、幅広い産業でマルチスペクトルカメラシステムの応用が期待されている。

このような中、富士フイルムは、4K・8K対応放送用レンズをはじめとする幅広いレンズ製品の開発で培った光学技術と、デジタルカメラ「GFX/Xシリーズ」の開発で培った最先端の画像処理技術を駆使し、偏光方式を採用したマルチスペクトルカメラシステムを開発した。

今回開発したマルチスペクトルカメラシステムの特長

■独自開発フィルタを搭載したレンズ、光の振動方向などの偏光情報をとらえる偏光イメージセンサ、最先端の画像処理機能を備えた高性能なマルチスペクトルカメラシステム。異なる波長の映像を高精細かつ同時に撮影して、リアルタイムに表示することができる。

■独自開発フィルタには、特定の振動方向の光を透過させる「偏光フィルター」と特定の波長の光を透過させる「光学バンドパスフィルター」の機能を搭載。独自開発フィルタを3枚採用し、最大9波長に分光するとともに、各波長の光を特定の振動方向に偏光する。

■フィルタを透過した各波長の光が持つ偏光情報を偏光イメージセンサで取得し、最先端の画像処理機能により映像化することで、高解像・高フレームレートを実現。また、検査の対象物に応じて最適な波長の光学バンドパスフィルタを選択して撮影することもできる。

今後の展望

富士フイルムは、放送用レンズやシネマカメラ用レンズなど「FUJINON」ブランドの各種レンズの研究開発・製造・販売に取り組んでいる。

また、世界初の「二軸回転機構レンズ」を搭載したプロジェクタや、世界最望遠*2800mmまでの焦点距離をカバーする光学40倍ズームの遠望監視カメラを開発・発売するなど、光学デバイス事業の領域拡大を進めている。

今後も、多様な市場ニーズにこたえる画期的な製品を開発し続けることで、さらなる事業成長を図っていく。

*2 レンズ一体型の遠望監視カメラとして。2020年7月9日現在。富士フィルム調べ。

問い合わせ
富士フイルム株式会社
https://www.fujifilm.com/jp/ja

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